表題番号:1995A-267 日付:2002/02/25
研究課題符号化技術とその応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 平澤 茂一
研究成果概要
本研究は情報理論・符号理論に共通の符号化技術に関するもので基礎的研究と応用的研究に分けられる。前者は誤り訂正で実行する新しいアルゴリズムの提案とその評価に関するものであり,後者は主として誤り検出符号のフォールトトレラントシステムの応用である。
(1)基礎的研究
誤り訂正を実行する符号アルゴリズムを扱っている。まず,バースト誤りが生起するとき,線形巡回符号の性質を用いて受信系列をずらしたものと重量することにより,誤りを打ち消し合い比較的簡単なアルゴリズムで強力な能力を引き出せることを示した。また,最小距離が偶数の連接符号において,内部符号の復号結果を利用することにより従来検出に止まっていた符号法を改良できることを示した。さらに,線形ブロック符号において,最尤復号をトレリス構造を用いて効率良く実行できることを示した。この他,情報源符号化についても考察している。Ziv-Lempel符号の符号化アルゴリズムを逆にたどることにより,実行しているパラメータ推定の方法を解明した。また,歪のあるデータ圧縮に歪のないデータ圧縮のアルゴリズムを適用して,従来よりさらに圧縮率を上げることが可能であることを示した。
(2)応用的研究
LSIなどのBuilt In Self Testでは回路に組み込まれたテスト回路により誤りを検出する。このとき,シグネチャとよぶデータ圧縮技術が用いられる。並列化可能な誤り検出符号の符号器構成を与えることによりテストが高速化できることを示した。また,符号化技術の知識情報処理への応用として,不確実な知識に新しい観測データを加え高信頼化を図るのに有効な判定・評価方法や,パターン認識などに用いられる事後確率の計算法を効率良く実行できる方法を示した。