表題番号:1995A-253 日付:2004/03/04
研究課題統計的手法による貯留層キャラクタリゼーション
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 在原 典男
研究成果概要
本研究では坑井検層のみが使える場合に,地層の連続性と岩相の分布を地質統計学により解析し,解析手法の特性を評価する。これらの結果に基づいて,浸透率分布を記述する詳細な流動モデルを作成し,シミュレーションのための入力データを導く。特に,有効なスケールアップのための手法を開発する。
ここでは砂岩層と泥岩層の互層が発達した層状貯留層における56本の坑井データに地質統計学の手法を適用して,地層の連続性と岩相の分布を解析した。解析手段としては,層厚分布の解析では,全坑井の対比を行い6層に分割した各層において,オーディナリー・クリギング(OK)およびシーケンシャル・ガウシャン・シミュレーション(SGSIM)の手法を用いて等層厚線図を描き解釈を行った。岩相分布の解析では,坑井データから砂岩と泥岩を識別し,シーケンシャル・インディケーター・シミュレーション(SISIM)により坑井データの存在しない地域の分布の解釈を行った。これらの解釈過程では特に地質統計学手法の適用性を評価した。クリギングではデータの相関性を記述するバリオグラムが統計処理の基礎となるが,これは球形モデルや指数モデルで近似するので,そのため影響は避けられない。
従来の手法(距離反比例法)による層厚分布解釈では局所的な変化が強調されるが,OKでは局所的な変化が平滑化され連続性が強調される。OKとSGSIMによる層厚分布を比較すると,データの内挿に相違が見られる。
シミュレーションでは坑井データのない地域においてデータの相関性に基づく変化(ノイズ)が強調される。
SISIMによる岩相分布の解釈では,まず坑井間で相関性のある地層の深度を正規化して,層序深度に変換する必要がある。対象とした貯留層のように互層の発達と地層の連続性が高い場合には本手法の適用に際して特に注意が必要である。