表題番号:1995A-220 日付:2002/02/25
研究課題粘性をもつ双曲保存系における非線形型波の安定性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 西原 健二
研究成果概要
(粘性をもつ)双曲型保存則の方程式は,基本的な非線型波として,(粘性的)衝撃波と希薄波をもつ。これらの非線型波の安定性が本研究の目的であり,特に,2つの非線型波-粘性的衝撃波と希薄波-の重ね合せが期待される場合の考察を目標としている。
さて,異なるタイプの波の重ね合せが期待される場合には,波と波の相互作用があるのでその考察が肝要である。それについての予想は共同研究者との間で得られているが証明には未だ相当の準備が必要と思われる。
一つの準備として,それぞれの波と境界との相互作用を考察し,得られた結果をまとめたものが次の2つの論文である。:
・Asymptotic Behaviour for Scalar Viscous Conservation Laws with Boundary Effect(Prof. T.-P. Liuと共著)
・Behaviors of Solutions for the Burgers Equation with Boundary Corresponding to Rarefaction Waves(Prof. T.-P. Liu,Prof. A. Matsumuraと共著)
前者の論文では,粘性的衝撃波が境界にはいり込む場合,及び境界から離れていく場合に,単独Burgers方程式の解の挙動を考察した。後者の論文では,希薄波に対して前者と同様の考察を行った。この場合には,境界及び無限大における特性速度の正負によって,波が(1)境界に入り込んだり,(2)境界から離れたり,(3)境界近くの波は境界にはいり込み遠方では益々離れていったりする。(1)の場合,境界との相互作用によって実は波は粘性的衝撃波となる。(2)は希薄波である。その結果,(3)の場合は,希薄波と粘性的衝撃波の重ね合せが漸近状態となって,ある意味で目標に近い状態での安定性も得られた。しかし,境界がない場合には粘性的衝撃波のlocationの決定が本質的で,ここでは,境界がlocationを決定しており,その難しさは避けられている。
本来の目標は今後の研究課題である。
方程式系に対する粘性的衝撃波の安定性は次の論文で得られている。:
Nonlinear Stability of Travelling Waves for One-Dimensional Viscoelastic Materials with Non-ConvexNonlinearity (with Dr. Ming Mei)