表題番号:1995A-197 日付:2002/02/25
研究課題日本の出生数の減少と世代間の人口の変化から見た2002年ワールドカップサッカー日本誘致問題の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 田邊 潤
研究成果概要
近年日本社会における少子化と高齢化の波は社会のそこかしこに影響を及ぼし始めており、日本のスポーツ界もその例外ではなく大きな方向転換の岐路に立たされている。本研究は21世紀の日本社会の構造的変化の中において巨大なスポーツイベントの誘致がどのような影響を及ぼすであろうかについて考えたものである。
2002年に開催されるサッカーのワールドカップには現在日本と韓国の誘致合戦が盛んである。しかしながら、日本ではイベントの誘致と開催によるメリットのみが強調され、開催決定後のスタジアム建設問題や開催中の世界からの観客動員の細かなマーケティング、開催後の諸施設の有効利用など非常に大きな問題が真剣に論議されないまま誘致の成功のみを願うような状況になっている。
本研究ではこれらの問題についてワールドカップにまつわる公共投資が今後の日本社会の構成員である全世代の国民のために有効であるかという観点のもとに調査を進めた。その結果、スタジアムの建設費、日本開催の意義、開催後の施設の有効利用などについて多くの問題が浮き彫りになった。そこで、以下のような提案をすることになった。
1. 日本のワールドカップ誘致に関するFIFAへの提案において、特に「バーチャルスタジアム」についての具体的なプランについて再度検討すること。
2. ワールドカップ誘致に関する新しいスタジアムの建設は現在予定されている半数程度におさえ、東京ドームなどの野球場の使用について再度検討する。
3. 日本、韓国の共同開催のために再度関係者の協力への努力をして欲しい。
本研究の結論から、1996年6月に日本での開催が決定した場合には、さらに広い観点からの研究と提案が必要であると思われる。