表題番号:1995A-191 日付:2002/02/25
研究課題唐代以前に成立した四史の注釈に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 小林 岳
研究成果概要
唐代以前に成立した四史の注釈で現存するものには『史記』三注(裴■集解・司馬貞索隠・張守節正義)・『漢書』顔師古注・『後漢書』紀伝部の李賢注および八志の劉昭注・『三国志』裴松之注がある。私はこれらの注釈を総合的に究明しようとする視座から,まずこのうちの劉昭注を取り上げて,昨年度までに劉昭の人物像および劉昭が志部を欠く『後漢書』に『続漢書』八志を補成し,さらにその補成『後漢書』の全巻にわたって注釈を挟入して作成した『集注後漢』という史書について論及した。その成果を受けて本研究では,まず(1)劉昭が補成『後漢書』の全巻に挟入した劉昭注の全容を解明するための考察を進め,その研究成果は,早稲田大学史学会大会(95年10月)において「劉昭の『後漢書』注について-『集注後漢』の内容をめぐって-」と題する口頭発表を行い,さらにそれを同名の論文にまとめた。またこれと平行して(2)『後漢書』李賢注の全容を解明するための基礎的な作業を開始し,同注の引用書・引用人名に関する1200枚余のカード(項目数約
12000)のデータベース化を続行中である。同じく(3)上記の研究の援用とするために,史注に関する外国語論文の翻訳を積極的に行った。その一部は「裴松之『三国志』注の史学的意義について」(『研究年誌』,早稲田大学高等学院,1996年3月)として発表した。