表題番号:1995A-174 日付:2002/02/25
研究課題教育場面におけるダブルバインドコミュニケーションの検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 助教授 菅野 純
研究成果概要
言語内容や非言語的行動における矛盾がメッセージの受け手にどのような印象を与えるのかということについては,これまで成人を対象とした多くの研究がなされてきた。一方,子供が親や教師といった大人の表出する矛盾したメッセージをどう解釈するかについては十分な検討がなされていない。そこで本研究では,保育・教育場面における教師のずれのあるコミュニケーションが子供達にどのように評価されるかということについて検討を行った。幼稚園年長児と小学生6年生を対象とし,言語内容と非言語的行動が矛盾するビデオ刺激を提示した。評価尺度は「いやーうれしい」の形容詞対が用いられ,幼稚園児は色による5段階,小学生はSD法による5段階評価を行った。その結果,メッセージに矛盾がない場合には幼稚園児と小学生には有意な差はみとめられなかった。しかし,音調の否定性に関しては両者間で有意な差が認められた。すなわち,幼稚園児の矛盾したメッセージの全体的評価は,表情と言語内容の肯定性や否定性により決定されるが,音調の効果は少なかった。一方,小学生は表情や言語内容ばかりでなく,音調も含めて判断していることがわかった。