表題番号:1995A-139 日付:2010/04/02
研究課題臨床化学検査における管理試料の性状評価に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 棟近 雅彦
研究成果概要
臨床化学検査は,病態の判別,予後の経過観察のための重要な情報を医師に提供している。しかし,データの精度が十分でなく信頼性がない場合には,このデータが使いものにならないだけでなく,場合によっては誤診を招く恐れがある。したがって,臨床化学検査の精度管理を行なうことが,医療技術の進歩のために重要である。
検査施設内においては,日々の測定が安定して行われているかどうかを調べるために管理試料と呼ばれる血清を1日数回測定し,管理図等の統計的方法で測定の管理を行うのが一般的である。また,施設間のばらつきを把握するために,同一の管理試料を多数の施設に配布し,その測定値を調査する精度管理調査が行われている。このように,管理試料は施設内,施設間のばらつきを把握し,精度の維持,向上を図るために重要な役割を担っている。
この管理試料に要求される特性には様々なものがあるが,使用目的からいって本来の測定対象である人間の生の血清と性状が等しいということが最も大切である。
本研究では,まず多種類の管理試料および人間の生血清を9つの検査施設に配布し測定を行った。その結果に対し,筆者が提案した管理試料が人間の血清と性状が等しいとみなせるかを統計的に評価する方法を適用し,管理血清と人間の血清との類似性の評価を行った。
また,合わせて各試料の物理的,化学的特性を調べ,類似性についての評価を行った。両方法による評価結果はほぼ一致しており,提案した統計的評価方法は有効であることが検証できた。