表題番号:1995A-134 日付:2002/02/25
研究課題機械的インピーダンス調節機構を備えた4自由度マニピュレータの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 菅野 重樹
研究成果概要
ロボットマニピュレータに拘束条件下の作業を行わせる場合,マニピュレータ自体に柔軟性を持たせることが有効である。この柔らかさは,静力学的要素のコンプライアンスと,動力学的要素のダンピングを加えたインピーダンスの調節により実現されることが理想的である。本研究では,理想的柔軟性を実現可能な新しいインピーダンス制御手法として,機械的に柔軟性が調節可能な関節機構(メカニカルインピーダンス調節機構)の開発とその制御手法の確立を研究目的としている。具体的には,ダイナミックな力制御が要求される腕関節にメカニカルインピーダンス調節機構を実際に適用することを目指し,本手法を用いた4自由度評価用アームの開発および関節制御則の構築を行った。
開発した4自由度マニピュレータは人間の肩・肘部に相当する自由度で構成されており,各リンク長,可動範囲,運動速度は成人男子とほぼ同等となるように設計されている。提案している関節機構をマニピュレータに用いたことで,力制御に一般的に用いられるダイレクト・ドライブ・アームに比べて小型・軽量化が実現された。
また,制御面についてはコンプライアンス・ダンピング特性実験を行うとともに,多自由度アームの逆運動学,関節の力学モデル化,自重による定常偏差の補償則などロボットアームの動作制御に必要な基本的な制御則を構築した。
更に,開発したハードウェアに運動制御則を適用して本機構の力制御に対する評価実験を行った。評価内容としては,理想的な関節柔軟性と正確な手先軌道追従性が必要となる垂直平面に対する静的な接触作業を取り上げた。
以上の成果から,本機構および関節制御手法がロボットアームの力制御に対して有効であることが示された。