表題番号:1995A-130 日付:2002/02/25
研究課題工場計画において異形状異面積の職場を扱う場合の職場配置問題の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 吉本 一穗
研究成果概要
工場計画における職場配置問題に対しては,従来より工場内における物流の効率化を目的とした数多くの数理的技法が開発されてきている。その代表的なものがQAP(二次割当問題:Quadratic Assignment Problem)からのアプローチである。
QAPに対しては厳密解法,近似解法ともに数多くの技法が開発され優れた知見が得られいる。しかし,QAPでは全ての職場が正方形等面積であることを前提としているため,様々な形状や面積をもつ現実の職場配置問題に対し,従来開発されている技法をそのまま適用することは不可能である。
従来の研究において,数多くの職場の最適配置を厳密に求めることは極めて困難であるとされているため,本研究では実用上満足のいく配置を現実的な時間で求めること,すなわち効率的近似解法の開発を行った。
近似解法の要件としては膨大な解空間から効率的に優れた解を見いだすことであるが,その目的で近年提案され優れた効果を上げているのが確率的最適化手法である。本研究ではその手法の中からSimulated Annealingを最適化手段として組み込むことで,評価関数という観点から精度の良い解を効率的に得る手法を開発した。
開発した技法は,プログラミングしてコンピュータ上に実装し,最適化手法が有するパラメータの設定等を行った。そして,他の文献のデータとの比較実験を行い,一般化された様々なタイプのデータに対して提案する技法の汎用性を検証した。
今後の課題としては,現実の生産現場で得られるデータを事例研究として取り組むことである。実際に生産システムの一部として職場の配置を機能させるには,評価関数を最適化する以外に,数多くの制約条件をクリアーしなければならない。この検証を通し,本研究で提案する技法がどのような現実制約にどの程度対応しきれるかどうかを調査する必要がある。