表題番号:1995A-128 日付:2002/02/25
研究課題ロットを考慮したジョブショップ・スケジューリング
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 森戸 晋
研究成果概要
現実のジョブショップでは,機械上の作業の処理順序を,競合する作業の優先順序に基づいて決めることが圧倒的に多い。このことを反映して,ジョブショップを対象とする多数の優先規則(差立規則,ディスパッチング規則等とも呼ばれる)が提案され,様々な評価尺度に対する性能が検証されてきた。
しかし,現実のショップでは,オーダに対応して複数の同種ジョブが繰り返し生産される場合が多いにも関わらず,これまでの研究では各ジョブが異なる種類のジョブであることを想定しており,同じ種類のジョブの反復を陽に考慮したものはほとんどない。
そこで本研究では,同種ジョブが反復して生産されながらも,それらを一括して処理する必要のない,あるいはできない環境を念頭におきつつ,納期遵守がショップ運用の実務担当者の最重要課題と認識される場合が多いことと,ショップの生産性重視という観点から,納期遅れと機械稼動率を評価尺度として,簡便な作業時間ベース優先規則を提案しその有効性を示した。
得られた主な結果をまとめると,次の3点が挙げられる。
1)従来から用いられている標準的な優先規則と提案した優先規則の性能を比較することによって提案した優先規則の有効性を示し,優先規則決定のための基礎的な指針を与えた。
2)納期遅れと稼働率を評価尺度として提案した優先規則の性能をシミュレーション実験をもとに検討し,優先規則の諸構成要因がその性能に及ぼす影響を解明した。
3)同種ジョブの一括処理を妨げる要因として,系内数やバッファ容量に関する制約を取り上げ,それらが優先規則の性能に及ぼす影響を明らかにした。
以上の研究成果は,10月に行われた生産スケジューリング・シンポジウム '95で発表し,講演論文集に掲載されており,別途,論文を経営工学会誌に投稿中である。