表題番号:1995A-126 日付:2002/02/25
研究課題制振構造システムデザインのための減衰評価を含む構造同定に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 西谷 章
研究成果概要
本研究は,建築構造物の減衰評価を含む構造同定を目的として,アクティブ制振に用いられるAMDを加振源に用いる方法と,常時微振動による2つ方法を各別に検証し,建築構造物への応用を行った。
現在,アクティブ制振構造物に最も多く用いられる制御方法は,建築物の最上層に設置された付加的な質量を,人為的に動かすことによって応答を低減する,AMD(Active Mass Damper)方式である。本研究はこのAMDを制振のためだけでなく,同定のための加振源として構造物を同定するという方法にもとづいている。入出力データから周波数領域での伝達関数,固有振動数・減衰比・モードベクトル等のモード特性を求める代数的計算法を確立し,4層のせん断実験モデルに対してその有効性を示した。さらに地震に対する刺激係数を算出する簡便な方法を提案し,同定された低次モードから地震応答予測を行った。また,一軸偏心をもつ構造物に対しても本方法を応用し,1つのアクチュエータで並進捩れ両方向の同定を行うために注意すべき点を整理した。
常時微振動を用いた建築物の減衰定数の評価では,シミュレーション解析により,カーブフィット法・RD法・自己相関関数法の3つの方法の特性を把握し,実在構造物への応用に際して考慮すべき点を明らかにした。本学51号館を実験対象構造物とし,最上階である18階の屋上のNS,EW方向の加速度計測にもとづき,固有周期・減衰比を3つ方法で推定をおこない,シミュレーション結果との対応を確認した。