表題番号:1995A-124 日付:2002/02/25
研究課題生産設備のライフサイクルシミュレーション
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 高田 祥三
研究成果概要
生産の設備依存度が高まる中で,設備をライフサイクルを通じて適切に維持管理していくことがますます重要となっている。そのためには,設備に将来起こるであろう劣化とそれが原因となる故障を予測することが必要である。それにより,設備開発段階における信頼性・保全性設計,運用段階での保全計画などを適切に行うことができるようになる。本研究は,設備の運用にともない各部に生じる劣化とそれによって引き起こされる機能低下を,設備のモデルを基にコンピュータ上でシミュレートするライフサイクルシミュレーション技術の確立を目指すものである。
設備の例としてロボット・マニピュレータを例にとり研究を進めた。シミュレーションは以下の手順で行う。
1)指定されたロボットの構造と与えられた作業から,各関節に加わる負荷を計算する。2)関節を構成する部品に加わるストレスを各関節負荷と関節構造のモデルに基づき計算する。3)関節を構成する部品の中で,歯車ところがり軸受けについて,摩耗と疲労損傷に関するモデル式を設定し,劣化の進行を予測する。4)関節部品の摩耗によって生じる各関節の誤差から,手先の位置,姿勢誤差を評価する。5)見積もられた誤差と作業遂行のための条件を対照させて作業の達成可能性を評価する。
以上のシミュレーションを実行するシステムをEWS上で試作した。マニピュレータとして,ピューマ型,スタンフォード型,ひじ型を例にとり,簡単な溶接作業を想定したシミュレーションを行った。この結果,マニピュレータおよび作業の違いによって各関節部品の劣化の進行に違いが生じること,またその結果として各作業点での誤差にもかなりの差が生じることが明らかとなった。