表題番号:1995A-119 日付:2002/02/25
研究課題経営政策リスク回避システムの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 大野 高裕
研究成果概要
企業の経営においては高リターンを追求しつつ,いかにリスクを回避するかということが重要である。これまでの一連の研究においては企業行動のリスクの最も典型的なパターンである倒産のリスクをいかに回避するかという視点から研究モデルの構築を行ってきた。今年度の研究においては,これらの成果を踏まえ,より一般的,日常的な企業行動およびこれに伴う経営意思決定のあり方を捉える研究に着手した。すなわち,倒産問題などで扱う短期的な経営政策の最適性のみならず,長期的な視野に立った経営政策の方向性を時系列的な側面も考慮しつつ扱う領域である。そこで,具体的な研究モデルとしては,今日的な課題である企業の海外進出におけるリスク回避を考慮した経営政策の策定プロセスを取り上げた。これは海外にプラント投資をし,これを半永久的に取り替え投資していく場合に,為替リスクをどのように回避するかを主眼としたものである。投資とリターンの間に発生する為替問題をネッティングによって緩和することで,問題解決の糸口を見いだしている。プラントの取り替え時期についての長期的な最適化については,ネットキャッシュフローの最大化を図ることで求めるモデルとなっている。
こうして構築されたモデルは,長期的な経営政策のリスク回避問題のごく一面を捉えたモデルに過ぎない部分は否定できないが,今後様々な経営側面を加えた総合的なモデルを構築する予定である。