表題番号:1995A-112 日付:2002/02/25
研究課題キャピタル・ゲイン課税の経済的効果
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 教授 横田 信武
研究成果概要
インフレーションによって名目的な資産価値が上昇し,そのため通常のキャピタル・ゲイン課税ではその課税ベースに多くの名目的なキャピタル・ゲインが含まれ,その結果,キャピタル・ゲインに対する実効税率は名目(法定)税率を上回ることになってしまう。このような税負担の増加を防ぐための方法の一つにインデクセーションがある。インデクセーションには消費者物価指数等のインフレ測定基準に応じて資産の取得価格を調整し,実質的なキャピタル・ゲインのみを把握する方法や適用税率区分の幅を広げたり,諸控除額を拡大させて税負担を減らす便宜的な方法などがある。
これらインデクセーションの諸方法について分配上(公平性),資源配分上(効率性),税務行政上(簡素さ)の観点等から比較・分析し,その特徴,長所,短所などを明らかにした。
さらに,インデクセーションがもたらす資産売却へのロック・イン効果への影響,投資への危険負担に及ぼす影響,納税者間の税負担分布への影響,政府税収への影響等についてアメリカ議会予算局やOECDの資料に基づいて考察した。とくに,様々なインフレ率と収益率の組合せのもとで,インフレによるキャピタル・ゲインへの実効税率の変化が投資資産の実質収益率にどのような影響を与えるかをモデル化して分析した。