表題番号:1995A-075 日付:2002/02/25
研究課題植物の環境適応の生理生科学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 桜井 英博
研究成果概要
1. 酸化的ストレスに応答するタンパク質の研究
単細胞緑藻Chlamydomonasの培地に酸化的ストレスを増大させるパラコート(PQ)を添加したときの酸化的ストレス防御系酸素の活性変動について研究した。独立栄養培地(MIN)では,スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびカタラーゼ(CAT)の活性レベルは0.1μMのPQ添加により変化がなかった。また,SODのアイソザイムのパターンにも大きな変化はなかった。光従属栄養培地(TAP)では,両酵素のレベルはMINのものにくらべて低かった。アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX),グルタチオンレグクターゼ(GR)のレベルは,MINに0.05-0.1μMのPQを添加することにより30-50%増大した。TAPでは,MINにくらべてAPXのレベルは顕著に低かったが,GRはほぼ同じであった。
 SO2Chlorellaへの透過の機構に関しては,大部分のデータはSO2が脂質層を単純拡散するという考えと矛盾しないが,取り込み後の光合成の阻害は複雑で更に多くの要因を考慮しなければならないことを示す結果が得られた。
2. リン酸ストレスに応答するタンパク質
 ニチニチソウ培養細胞はリン酸欠乏条件で数種の細胞外酸性ホスファターゼを分泌する。これとは別に,葉にはアルカリ性pHでも活性のあるホスファターゼが存在することを発見し,その精製を目指している。