表題番号:1995A-064 日付:2002/02/25
研究課題教育財政におけるアカウンタビリティ(説明・応答責任)の理論的・比較的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 助手 沖 清豪
研究成果概要
近年,教育行政・財政に関する議論のなかで「アカウンタビリティ」が語られることが多い。本研究では,研究費により収集させていただいた和洋文献の検討を通じて,特に下記の二点を明らかにすることを試みた。
1. 教育(財政)におけるアカウンタビリティの定義
 アカウンタビリティには基本的に「成果を出すこと」と「説明すること」という二つの概念が含まれている。
従って,教育におけるアカウンタビリティは,「教育に携わる人々がその活動を通じて,できる限り所与の教育目標を達成するといった『成果』を出すよう努力し,さらに生徒・学生や親・納税者に対して,その達成された成果について『説明』,場合によっては『弁明」すること」と定義される。しかし,国家財政が逼迫しているとされている中では,ある教育機関およびその教職員が,納税者の負担する税金(国公立,私学の国庫助成)および学生・その親の負担する学費に見合った教育を提供しているかどうかという面のみに,アカウンタビリティ要請の注目が集まりがちである。
2. 高等教育におけるアカウンタビリティの諸形態
 高等教育機関(および教職員)の場合,上述のようなアカウンタビリティ(公的統制モデル)だけではなく,その専門職性から不断の自己検証が求められている(専門職モデル)。さらに,教育消費者としての学生・その親の選択によって大学淘汰を含む大きな影響をうけやすい(パートナーシップモデル,市場機構モデル)。
大学は,自らの自律性を保持し,存在意義を示すためにも,多様なアカウンタビリティ要請に応えていくことが必要である。
なお,詳細については『フィロソフィア』第83号掲載の論文を参照されたい。