表題番号:1995A-022 日付:2002/02/25
研究課題内政不干渉原則に関する時際法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 島田 征夫
研究成果概要
1995年度の本研究の成果としては,L. Oppenheim, International Law, 1st ed., 1905の研究会「国際法理論史研究会」に定期的に参加(春秋の国際法学会開催時のほか,95年7月と96年3月に行われた)し,他の国際法研究者と有意義な意見交換ができたことがあげられる。
そうした研究会における貴重な討論をふまえて,内政不干渉原則の研究を行う前提として時際法の論点の1
つとして,本年は条約保釈規則と同時性の原則に焦点をあて,同時性に関する論文をまとめた。
同論文は,時際法の理論が主として慣習法について適用があると思われてきたことをベースに,条約法においてはこの時際法がいかなる地位を占めるかについて論じたものである。結論的に言えば,条約法における時際法の機能はまず同時性の原則として現れるのである。この同時性とは,条約解釈を,条約締結時点の事実や規則を基に行なうことを意味するのであって,このことは普通は契約の解釈についてよく言われてきたことである。それが条約の解釈についてもあてはまることが明らかになったのであり,これは,条約の解釈規則上従来主張されてこなかった新しい規則を提示したことを意味し,その点で,この論文の大きな意義が見出される。