表題番号:1995A-004 日付:2002/02/25
研究課題ミクロ動学モデルによる生産関数非相似性の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 中村 愼一郎
研究成果概要
伸縮的でありながら大局的な凹性を持つ一般尾崎 McFadden 費用関数 (GOM) を導出し,これを我が国紙/紙パルプ製造業の企業パネルデータに応用した。この費用関数型はNakamura (1990) による一般尾崎費用関数(GO) に大局的な凹性を付加したものであり,Komiya (1962), Ozaki (1969) 等によって考慮された非線形
Leonief固定係数モデルを特殊例として含んでいる。さらに本研究では,パネルデータを用いることから,通常の時間趨勢の代わりにBaltagi-Griffin (1987) による一般的な技術変化指標を用いた。
推定の結果GOMモデルは大局的な凹性を自動的に満たした。更に,スルーツキー行列の対称性も棄却されない。結局,推定されたGOMモデルは積分可能条件を満たしている。比較のためにトランスログモデルも推定したが,観察点の約8パーセントにおいて凹性が満たされていない,と言う結果を得た。GOMモデルの正則域の方がトランスログモデルのそれよりも標本をよく内包すると考えられる。
しかしながら,GOMとトランスログモデルのどちらにおいても相似性は強く棄却された。特に,資本労働比率が生産量の増加とともに増加することが見いだされた。要素制約性に関しては統一的な結果は得られなかった。