表題番号:1994C-012 日付:2002/02/25
研究課題スターリングサイクル機器国際会議
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 勝田 正文
(連携研究者) 理工学部 教授 永田 勝也
(連携研究者) 理工学部 教授 大聖 泰弘
(連携研究者) 理工学部 名誉教授 斎藤 孟
(連携研究者) 理工学部 教授 林 洋次
(連携研究者) 理工学部 教授 大田 英輔
(連携研究者) NASAルイス 研究員 J.G. シュライバ,U.S.A.
(連携研究者) Penn State Univ. 教授 S.L. ギャレット,U.S.A.
(連携研究者) リーディング大学 教授 P. D. ダン, U.K.
(連携研究者) DLR 教授 U. スプレンゲル,ドイツ
(連携研究者) シュツッツガルト大学 教授 M. グロール,ドイツ
(連携研究者) カルガリー大学 名誉教授 G. ウォーカ,カナダ
(連携研究者) 物理エネルギー研究所 教授 M. イワノフスキー,ロシア
(連携研究者) 上海ディーゼル研究所 教授 S. ヨーツイ,中国
研究成果概要
スターリングサイクル機器は,高効率,高COPである可能性を持ち,熱源の種類を問わないこと,CO2や他の大気汚染物質の排出量が少なく,低騒音であることから,エネルギならびに環境問題の改善に寄与できるものとして注目されている。特に近年,この逆サイクルを利用したスターリング冷凍機は全廃間近いフロンを冷媒として用いない次世代冷凍法として,国際的に認知され始めている。さらに,このサイクル機器が再生可能な自然エネルギーを利用できるため,開発途上国のエネルギー事情に大きく寄与する可能性がある。
このような背景のもと,1970年以来,多くの大型,小型のスターリングサイクルプロジェクト,とりわけエンジンやヒートポンプの研究が世界各地で推進されてきた。一方わが国においてもナショナルプロジェクトや企業基金によって,民生用並びに宇宙用のスターリング機器の研究が活発に行われている。
本研究課題では,1982年ロンドン開催から数えて,既に7回目を迎えるスターリング機関国際会議を早稲田大学で開催するため,早稲田大学本属の研究者ばかりでなく,世界各国の一流研究者を加え,さらに他大学,国立研究所の研究者を協力者として迎えて研究分科会を発足させ,会議の企画立案,内容調査,準備,開催,プロシーディングの発行に至る一連の作業を展開した。
会議の企画立案では,来世紀に向けたエネルギ変換機器としてスターリングサイクル機器の将来性を議論すること,さらに過去にはなかった試みとして,動力発生ばかりでなく逆サイクルであるフレオンを用いない冷凍法についても会議のもう一方の主題とすることとした。加えて構造的に内燃機関に比べて単純であり,工学・技術教育教材(熱力学の各種法則の理解)に利用できる可能性を持つ超小型スターリングエンジンを取り上げ,教材用エンジンの展示発表会を会議に先立ち,開催することとした。
本研究課題で同時に進行した早稲田大学での研究調査では,スターリングサイクルを基礎とするパルス冷凍法,熱音響冷凍法に関する実験研究および性能解析を取り上げ,プロトタイプの製作,実験の遂行,性能予測法の確立を目指した。2年にわたる研究で,ほぼその基礎を固めることができ,性能解析法においては早稲田独自のエンタルピーフローモデルを構築するまでに至った。
第7回スターリングサイクル機器国際会議は,1995年11月5日から8日にわたり,早稲田大学国際会議場で開催された。6日の開会式後,会議招待者による2件の特別講演が実施され〔Prof. Kolin (Croatia) "Thermodymanic Theory for Stirling Engine"とProf. Sprengel (Germany) "Solar Stirling Power R&D Activities in Germany"〕,引き続き8日まで一般講演が行われた。18カ国から77件の講演が3つのパラレルセッション形式で発表された。7日には,1件の特別講演〔Dr. Loctionov (Russia) "Stirling Engine ApplicationProgram in Russia"〕が,8日午後には会議招待者1名を含む4名の国内外の専門家による,〔スターリングエンジン・冷凍機技術の展望〕と題するパネルディスカッションが行われた。パネルディスカッションでは,Dr.Finkelstein, Prof. Isshiki, Prof. Garette (招待者), Prof. Matsubaraによる動力発生側及び冷凍機側(パルス冷凍機が主体)の将来展望に関する講演の後,会場からの質問やコメントを求める形で熱心な質疑が交わされ、将来の検討すべき課題について取りまとめが行われた。
開催中、海外参加者18ヵ国、47名を含み、参加者総数210名を得て、盛会のうちに閉幕した。このように将来のエネルギー変換機器として有望視されているスターリングサイクル機器に関する世界的な研究者が一堂に会し,非常に有意義で21世紀を展望する成果を得ることができた。