表題番号:1994C-002 日付:2002/02/25
研究課題都市周辺地域における土地整理手段に関する日欧比較研究-農地転用の方法に関するドイツと日本の比較を中心として
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 田山 輝明
(連携研究者) 政治経済学部 教授 堀口 健治
(連携研究者) 法学部 教授 楜澤 能生
(連携研究者) 教育学部 助教授 北山 雅昭
研究成果概要
日本の大都市周辺部における市街化の状況は,都市計画的努力にもかかわらず決して優れたものとは言えない。法制度上はドイツ等の都市計画法制と大きく異なっているわけではないが,実現された都市の姿は全く異なったものとなっている。日本にとっては,ドイツ等の制度の本質的部分についてさらに研究する必要があり,ドイツを初めとする欧州側では,日本の経済発展との関連において日本の都市政策ないし法制度の研究を行う必要がある。すでに文献による予備的研究の段階は過ぎており,両者が一堂に会して討論を行う必要があった。
研究代表者と日本側分担者三名は,これまで,主としてドイツと日本の農業,土地法制ないし環境法制について比較研究を行ってきたが,特に1993年4月に早稲田大学ヨーロッパセンター・ボンにおいて行った日本農業法学会主催の「日本,ドイツ及び近隣諸国における特に環境問題に配慮した,農業構造政策とその法的諸問題に関するシンポジューム」以降,ヨーロッパセンターを媒体とした現地の研究者との研究上の連絡を密にしていた。日本と欧州諸国とは異なった社会的・経済的基礎の上にあるが,双方による問題意識のすり合わせにより,上記テーマに関する比較研究が可能であるとの共通認識に到達した。その具体的研究の場として,ヨーロッパ土地整備研究所の第21回定期学術大会のテーマとして我々のテーマを取り上げてもらい,「都市周辺部における土地整理手段」につき,早稲田大学ヨーロッパセンター・ボンにおいてシンポジュームを開催し,日本側からは,田山,楜沢,北山が報告を行い,田山と楜沢はセッションの司会も行った(ヨーロッパセンター・ボンの年報1994年度およびTeruaki Tayama / Erich Weiss, Bodenprobleme am Stadtrand, Peter Lange, 1996(提出済)参照)。1995年3月31日~4月9日迄の日程で,Prof. Dr. De Leeuw氏とProf. Dr. E. Weiss氏とが来日し,翌年のシンポジュームの内容上の検討を行った(この点については内部資料がある)。この講演もすでに一定の成果であるが,あくまでも準備段階における問題点の整理であり,本格的な研究の成果は1996年の「総合的なシンポジューム」において行う。
この3年間にわたるヨーロッパセンターボンにおけるシンポジュームの積み重ねにおいて,ヨーロッパの農地法制・政策の研究者にとっては,日本との交流については早稲田大学の研究者を通じての研究の交流が最も信頼のおけるものであるとの認識が定着しつつあると言える。2度にわたって(センターの第二プロジェクトを含めれば3回)ドイツにおいてシンポジュームを行ったが,その仕上げとして,早稲田大学の国際会議場において総括的なシンポジュームを行うことは,ごく自然であり,研究機関としての早稲田大学の地位をヨーロッパにおいて多少なりとも更に高めることになるものと信じている。