表題番号:1994B-037 日付:2002/02/25
研究課題超高輝度高分解能薄膜X線回折を用いた層状ケイ酸塩研究および高配向性薄膜材料開発への新展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 山崎 淳司
(連携研究者) 理工学部 教授 上江州 由晃
(連携研究者) 理工学部 教授 千葉 明夫
(連携研究者) 教育学部 教授 堤 貞夫
研究成果概要
現在,多くの薄層状結晶や有機・無機薄膜材料が開発・研究されているが,いずれもその薄層組織ゆえに単相の結晶構造をはじめとする諸物性の解析が困難である場合が多い。本研究は,1993年度に高分解能薄膜X線回折装置が本学理工学総合研究所物性計測センターに共同利用施設として導入されたのを機会に,従来測定が困難であった各種薄層状または薄膜状試料についてのX線回折による新しい知見を基に,諸物性研究への新しい展開をはかったものである。その中でメンバーは,様々なペロブスカイト型磁性・誘電体物質をはじめ,各種の非線形光学媒質体の表面物性や,多種多様の非晶質または結晶質高分子の転移機構の解明など多くの成果をあげてきている。例えば,各種天然・合成層状ケイ酸塩の二次元性結晶(montmorillonite, vermiculite, phlogopiteなど)をホスト物質として,それらの層間にPbを主とする遷移金属炭酸水酸塩のインターカレーションを施すことにより新規のPb系無機化合物一層状ケイ酸塩鉱物複合体が水熱合成されているが,これら生成物の結晶構造を高配向X線回折データを用いた一次元電子密度解析法により決定し,層間化合物クラスターの状態を明らかにした。
また,無機系基材上にゾルゲル法によりエピタキシャル成長させたハイドロキシアパタイト結晶の結晶学的方位分布と,ホスト-ゲスト界面のイオン拡散の影響(分布)が決定された。この結果をもとに,制ガン剤などの各種薬剤吸着・徐放特性との相関についての計算化学シミュレーションからこれらの動的反応挙動を解明し,さらに反応制御への展開を行なっている。