表題番号:1994B-028 日付:2002/02/25
研究課題交流用超電導ケーブル導体の電磁的・熱的特性に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 石山 敦士
(連携研究者) 理工学部 教授 小貫 天
(連携研究者) 理工学部 / (1995年度は理総研客員講師) 助手 若尾 真治
研究成果概要
1. 交流用ケーブル導体の常電導伝播特性素線絶縁の施されていない3本,7本および(6+1)本(7本中,中心素線1本を銅または銅ニッケル線としたもの)撚線ケーブル導体の常電導転移(クエンチ)特性を明確にするための実験と解析を行った。
(1) クエンチ実験:3本撚線ケーブル導体を試料として,1本を選択的にヒータにより強制的に常電導転移させたときの,撚線ケーブル導体内の電流再配分現象と,導体全体が常電導状態へ転移する最少のヒータ投入熱量を測定した。その結果,従来の直流用ケーブル導体とは異なる特有のクエンチ特性を有することが示された。
(2) クエンチ解析:初年度(94年度)開発したケーブル導体内の電流分布と温度分布を解析する計算機コードを用い,3本撚線ケーブル導体について解析を行った。実験結果との比較により,その妥当性の確認を行うとともに,実験によって示された特有のクエンチ特性についてその発生機構について考察を行った。その上で,3本,7本および(6+1)本撚線ケーブル導体について解析・シミュレーションを行い,母材である銅ニッケルの電気抵抗率と熱伝導率や,素線間の接触電気および熱抵抗などのクエンチ特性に与える影響,銅シース(素線表面に設けた銅の薄い層)の過渡安定性への寄与などを明確にした。
2. 素線間接触電気抵抗の精密測定
撚線ケーブルタイプの超電導導体の安定性を評価するためには,導体内の電流分布を支配するパラメータの一つである素線間の微小な接触電気抵抗を正確に知る必要がある。超電導トランスを用いた新しい測定法を提案・試作し,10-9〔Ω〕という微小抵抗の測定が可能となり,成形撚線型導体について実測し貴重なデータを得ることができた。