表題番号:1994B-024
日付:2004/03/16
研究課題新規就職後の転職を含む進路変更過程の分析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 第一・第二文学部 | 教授 | 正岡 寛司 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 山本 多喜司 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 春木 豊 |
(連携研究者) | 第一・第二文学部 | 教授 | 和田 修一 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 助教授 | 池岡 義孝 |
(連携研究者) | 人間総合研究センター | 助手 | 西野 理子 |
- 研究成果概要
- 本研究は,新卒者の就職後の進路変更過程をパネル法による追跡調査で収集されたデータを用いて明らかにすることを目的としている。早稲田大学人間科学部第1回~3回卒業生に対する卒業後2年目までの追跡データに加え,本研究では2年目以降の進路変更データを収集した(94年度)。また95年度には,結婚および出産経験者に詳細な調査を実施した。
卒業後の進路としては大多数の者(男性91%,女性85%)が正規従業員として就職し,その後も継続している。そうしたなかで,約1割の者は卒業15ヵ月時点までに進路を大きく変更している。こうした職業経歴初期における離職率は高卒者のそれよりも低い(日本労働研究機構〔1990〕によれば高卒9ヵ月時点で離職率は10%に達する)。しかし卒業39ヵ月を経過した第1回卒業生では,26%におよぶ。実に3分の1の者は,就職後約3年内に進路の変更をしていることになる。あらためて職業キャリアの初期における不安定性が確認された。
進路変更の内容は就職先の移動,職業領域からの退職,学校へ戻るなど種々であり,男性よりも女性にその変更率,変更内容の多様性が高い。彼女たちの退職・転職の過程を詳細に検討すると,当初の仮説のとおり,女性の職業キャリアの展開が生殖家族キャリアの開始・初期の展開と強い共時性をもつことを支持する結果であった。
今後の課題としては,そうした共時性のメカニズムの説明をより深化させるべく分析を進めることである。