表題番号:1994B-015 日付:2002/02/25
研究課題適度な運動と健康教育を中心とした健康増進運動とその効果の把握に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 町田 和彦
(連携研究者) 人間科学部 教授 太田 冨貴雄
(連携研究者) 人間科学部 助手 栗山 孝雄
研究成果概要
目的: 数十年後の日本は人類がかって経験しなかった超高齢化社会を迎えようとしている。そのため,抜本的な保健活動の改革と年を取っても元気で生きがいのある生活を送れるような活動を推進する必要がある。そのために,基礎体力の向上,食生活の改善,余暇の過ごし方などの健康指導を中心とした住民運動を推進する調査を企画した。
方法: 対象者:埼玉県狭山市の老人クラブ会員。1995年度150名(男:85名,女:65名,平均年齢72.2±5.5才),1996年度138名(男:73名,女:65名,平均年齢75.8才)を対象として各種ライフスタイルに関するアンケート調査(生活習慣,嗜好習慣,運動習慣,健康状態,既往症,食生活,ストレスに関する調査など),生理機能測定(血圧,握力,肺機能,肥満度,尿検査等)および血液検査(15項目の血清生化学検査,貧血検査,好中球貪食・活性酸素産生試験,フローサイトメトリーによるNK細胞数)を実施した。
結果: 1. 食品摂取状況はおおむね良好であったが,特に80歳代が良かった。食品摂取状態の良好な人は好中球の貪食・細菌能の間に強い正の相関がみられたばかりでなく非刺激時試験で低い活性酸素産生能を示した。
また,栄養に関係している血清中ALB, TPやCaの高い人は好中球貪食・細菌能が有意に高値を示した。2. 喫煙習慣のない人や男の少量の飲酒者は良好な好中球機能を示した。3. 週5回以上の運動習慣を持っている人はストレス度が有意に低値を示した。4. 悩みを解消する手段を持っている人は好中球の貪食・殺菌能の間に有意な相関関係を認めた。5. 6時間以下の睡眠時間の人は男女ともに非刺激時活性酸素産生が高値を示した。6. 女性のナチュラル細胞活性とストレス耐性度の間に正の相関が認められた。7. 生活活動度(ADL),アルコール摂取量とストレス度(SCL-S)との間に負の相関が認められた。