表題番号:1994B-008 日付:2002/02/25
研究課題数理科学に現われる非線形偏微分方程式系の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 堤 正義
(連携研究者) 理工学部 教授 大谷 光春
(連携研究者) 理工学部 教授 山田 義雄
(連携研究者) 理工学部 助手 井戸川 知之
研究成果概要
本研究は,各研究者が従来より行なって来た様々な非線形偏微分方程式の問題を,緊密かつ相互補償的な協力によって,より高度に研究することを目指したものである。当該研究期間内に,本研究課題の下で各研究者が行なった研究成果は以下の通りである。
堤は,日本数学会会誌「数学」に非線形シュレディンガー方程式に関する論説を執筆した。これは,これまで日本において,主として堤研究室の卒業生を中心に行なわれて来た研究成果の総合報告である。また,微分幾何学・画像処理等に現れる曲線発展方程式に関しては,主に堤と井戸川が担当し,線形化可能方程式の発見,新しい数値解法の提言等の知見を得た。
分担者大谷は,従来より変分問題・劣微分理論を研究して来たが,井戸川との共同研究で,関連した境界値問題について新しい結果を得,また熱対流の問題,almost periodic solutionなどで,著しい成果を得ている。
分担者山田は,数理生態学における連立方程式の研究を続行し,大域解の存在など,基本的かつ重要な結果を得た。
以上,各研究者が扱っている問題は,それぞれ異なっているが,用いている手法は,いずれも関数解析的・実関数的アプローチであり,同一の思想・価値観の元で研究がなされている。お互いの忌憚のない討論や情報交換が,各人の研究を進める上で大いに役立っている。我々のグループは,そのような討論・情報交換の場として,毎週定期的に会合をもち,毎年5~6名強の著名な海外研究者の講演会を開くなど,在京の非線形偏微分方程式論の研究グループとしては,もっとも活発な集団の1つであることを付記しておく。