表題番号:1994B-005
日付:2002/02/25
研究課題循環系,運動系の力学的解析に基づく運動能力向上法の提唱
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学部 | 教授 | 梅津 光生 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 加藤 清忠 |
(連携研究者) | 理工学部 | 助教授 | 高西 淳夫 |
(連携研究者) | 商学部 | 教授 | 鵜飼 信一 |
- 研究成果概要
- 本研究の最終目的は,ウェイトリフティングの最適訓練法を工学的解析をもとに提唱することである。
著者らは,運動にかかわる生体の血液循環,特に,筋肉,皮膚の末梢組織循環の応答を工学的に解明するという立場をとってきた。今までの研究によって末梢循環の挙動のごく一部の現象を説明しうる簡単な数式モデルを構築するまでに至った。しかし,それを複数の現象を説明しうる汎用モデルにまで改良を加えるには多くの試行錯誤の過程を踏まねばならない。
本研究では,まず重さの異なる(O-19kg)の負荷を足関節で保持したいわゆる等尺性保持運動負荷時の大腿部位の血行動態変化を調べた。この実験では,皮膚血流と皮膚温度の変化をレーザードップラー血流計とサーモグラフィーを用いて計測した。実験の結果,運動に対して皮膚温度は上昇したが,血液量はいつも増加するとは限らなかった。また,同一負荷(10kg)時の大腿部の2ヶ所の部位に対して同様の実験を行った結果,皮膚温度が下降するケースが多く見られた。
このような一見不規則にみえる末梢循環の応答特性の現象を説明するには,動脈と静脈の間の末梢部位を筋肉部と皮膚部に分割してとらえ,その2つを結合する血流の存在を考えるのが有効であることがわかった。これは組織学的には穿通枝と呼ばれ,この部位の血液温度は体内深部の筋肉温度を反映するため,皮膚に直接流れる血液温度よりわずかに高く測定される。皮膚温度は,この穿通枝と直接動脈から流れ込む血流の混合の結果によって決定されるという仮説をもとに,実験値を導入した数式モデルを作成した。その結果,運動に対して皮膚温度や皮膚血流量が増減する個々のケースに対してもに本モデルを用いることでその挙動が説明可能であることが示された。