導電性高分子の芯層導入で生体組織形成の誘導能を高めたマイクロファイバー培養足場

2018-0927-06
研究者名
研究者情報 武田 直也 教授
所属
理工学術院 先進理工学部
専門分野
生体医工学・生体材料学,高分子化学,ナノバイオサイエンス,薄膜・表面界面物性,構造・機能材料
キーワード

背景

◆ 生体組織を細胞から作製できれば、ドナー不足に悩む移植医療に有用。
◆ 急な治療を要する怪我や病気に対して、できるだけ早く作ることは重要。
◆ 薬の評価や発症機序解明研究のためのモデル組織としても有用。

シーズ概要

◆ 筋形成には筋芽細胞を配列し得るマイクロファイバー足場が有効 (図1)。
◆ 電位の負荷により筋組織や神経組織形成を促進; 導電性高分子の利用。
◆ 導電性高分子PEDOT/PSSを芯層に導入したファイバーを開発 (図2)。

優位性

◆ 電位を負荷しなくても筋管の形成誘導を促進 (図3)。
◆ 細胞増殖率も増大。
◆ 水懸濁性のPEDOT/PSSが芯層にあり、水系の培養液中でも安定に存在。

応用・展開

◆ 再生医療・バイオ産業: 移植を指向した再生組織。
◆ 製薬産業: 薬剤評価用のモデル組織。
◆ 繊維産業: 機能性繊維。

資料

  • 図1. 筋芽細胞から筋管形成を経て筋組織が形成される流れ。
  • 図2. PEDOT/PSSを芯層に導入したマイクロファイバー.(a) 模式図,(b) SEM像,scale bar 5 µm. (c) TEM像,scale bar 500 nm.
  • 図3. (中央)PEDOT/PSSが芯層の二重ファイバー足場上での効率的な筋管形成誘導(緑).細胞接着用の鞘層のみファイバー(左),細胞接着層とPEDOT/PSSの混合ファイバー(右).Scale bar 200 µm.

他のシーズ

  • 紙とマイクロファイバーの重層化基材を用いた自律駆動型灌流培養システム
  • セルロースナノファイバーの再生医療応用 ~ チキソトロピー性ゲルでの細胞培養による組織作製 ~
  • 気相で保存できそのまま使える高分子とタンパク質の複合化分子認識・センシング材料の開発
  • 酵素を複合化した高分子ファイバー・センサ~気相での保存と使用ができ、生体ガスをイメージングする~
  • チキソトロピー性を有するゲルを用いる多層3次元細胞培養足場システム
掲載日: 2018/09/27