放射線化学反応初期過程の解明 ~パルスラジオリシス実験~
2012-0903-02
- 研究者名
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研究者情報 鷲尾 方一 教授 (当時)
- 所属
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理工学術院 理工学術院総合研究所
- 専門分野
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原子力学,素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理,物理化学
- キーワード
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エネルギーシステム 、 原子力学 、 放射線理工学 、 エネルギー生成・変換 、 パルスラジオリシスシステム
背景
電子線などの高エネルギー放射線を物質に照射すると、物質は放射線からエネルギーを受けることにより電離(イオン化)や励起状態などの反応がピコ秒からナノ秒という時間領域で起こり、反応中間体が生成する。生成した中間体はある特定の波長の光を吸収する性質を持っている。パルスラジオリシス法は生成した中間体の収量変化を光の吸収量の変化から測定する方法である。電子線を照射し、反応を誘起させ、光(分析光)を照射して解析するこのような手法を「ポンプ・プローブ法」という。放射線化学反応の初期過程の解明のみならず、医療分野や原子力分野への応用が期待されている。
シーズ概要
鷲尾研究室では、コンパクトなフォトカソードRF電子銃を用いた世界最小のパルスラジオリシスシステムの構築を行っている。現在、ナノ秒分解能システム、ピコ秒分解能システムの構築をほぼ終えた。ナノ秒システムではオシロスコープで時間挙動を直接測定できるため、短時間で多くのサンプルの測定が可能であり、かつ、ピコ秒システムと組み合わせると、幅広い時間領域で現象を追跡可能。
応用・展開
放射線化学の初期過程の解明のみならず、医療分野や原子力分野への応用が期待されている。
優位性
従来の測定機器の時間分解能ではナノ秒までの時間領域の測定しかできなかったが、ピコ秒の時間幅を持つ電子ビームと分析光を用いることで、測定機器の分解能によらず、ピコ秒領域の現象を追跡することができる。 水和電子吸収測定実験を行い、十分な時間分解能・S/Nを持つシステムであることを確認した。 時間分解能 28ps、S/N 19.9
提供目的
受託研究、共同研究、技術相談
備考
所属学会:日本放射線化学会、日本物理学会、日本化学会、高分子学会、原子力学会、ラドテック研究会
他のシーズ
- 高品質ビーム利用実験
- 集束イオンビーム(FIB)によるマスクレス直接エッチング技法
- フォトカソードRFガンを用いた逆コンプトン散乱軟X線源の開発
- EB-NILによる極微細構造体作製
掲載日:
2012/09/03