リチウム二次電池用長寿命シリコン負極合成
2012-0712-01
- 研究者名
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研究者情報 逢坂 哲彌 特任研究教授 (当時)
- 所属
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- 専門分野
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デバイス関連化学,ナノバイオサイエンス,電子・電気材料工学
- キーワード
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電池 、 電気化学 、 ナノ構造体 、 めっき 、 リチウム合金系負極
背景
東日本大震災以降,一気に高まった再生可能エネルギーの利用を促進するためには,そのエネルギーを蓄えるデバイスは必要不可欠なものとなってきた.揚水発電などと異なり,小規模な分散電源として設置可能なリチウム二次電池はその中で,大きな注目を浴びている.しかし,現行のリチウム二次電池の高容量化は既に頭打ちになりつつあり,次世代蓄電池の開発が望まれている.高容量を示す蓄電池の電極材料としてリチウムと合金化するすずやシリコンが期待されているが,それらは充放電時におこる大きな体積変化から劣化が加速され十分なサイクル特性が得られない事が問題となっている.
シーズ概要
本技術は,シリコンの還元析出と同時に有機溶媒が還元分解することで,ミクロなレベルでシリコンと有機無機複合体の混合物作製に成功した.得られたシリコン電極は,酸素,炭素がナノスケールで分散したアモルファスシリコンで構成され7000サイクル後においても約800mAh/g という非常に優れた差し繰る特性を示した.
応用・展開
本手法で合成したシリコン負極は比較的高い放電容量かつ優れた繰り返し特性を有するため,次世代正極と組み合わせた二次電池とすることで従来の二次電池よりも大幅に高い容量を示す二次電池が作製できる可能性を秘めている. また,従来の粉体を集電体に塗布する電極と異なり,集電体上に直接電析するため,電池製造プロセスを大きく変化させる可能性を秘める.
優位性
充放電に伴う大きな体積変化によって十分なサイクル特性が得られないとされる合金系負極材料のシリコン負極においても7000サイクル以上という優れた充放電特性を実現した.
提供目的
受託研究、共同研究、技術相談
関連論文
- 1.T. Momma, S. Aoki, H. Nara, T. Yokoshima, T. Osaka, “Electrodeposited novel highly durable SiOC composite anode for Li battery above several thousands of cycles”, Electrochem. Commun., 13 (2011) 969-972.
- 2.H. Nara, T. Yokoshima, T. Momma, T. Osaka, “Highly durable SiOC composite anode prepared by electrodeposition for lithium secondary batteries”, Energy Environ. Sci., 5 (2012) 6500-6505.
関連特許
- 特願2010-232941(2010.10.15), PCT/JP2011/073505(2011.10.13), "リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池用負極、およびリチウム二次電池",逢坂哲彌, 門間聰之, 横島時彦, 奈良洋希, 早稲田大学
- 特願2011-068810(2011.3.25), PCT/JP2012/057570(2012.3.23) "リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池用負極、およびリチウム二次電池",逢坂哲彌, 門間聰之, 横島時彦, 奈良洋希, 早稲田大学
他のシーズ
- ラミネート型リチウムイオン二次電池の作製技術開発
- インピーダンス測定によるリチウムイオン電池(LIB)セルの劣化把握
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掲載日:
2012/07/12